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【※医師監修】『顔と頭の汗がすごい!』病院は何科が良い?【原因と対処法】

グランツクリニック 院長 永嶋啓一

記事監修
グランツクリニック院長
永嶋 啓一

経歴

2013年 埼玉医科大学 医学部 卒業
2013年 埼玉医科大学総合医療センター
形成外科・皮膚科・麻酔科
2015年 品川美容外科 勤務
2016年 品川美容外科 品川本院 主任 / 新潟院 院長
2016年 東京中央美容外科 宇都宮院 院長
2018年 東京中央美容外科 新宿院 院長
2019年 銀座国際美容外科 勤務
2019年 グランツクリニック 開院

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人が「汗をかく」のは基本的には自然な現象で、体温調節をするためにも必要な事です。
しかし、中には身体の一部から急に多量の汗が流れ出たり、汗がなかなか止まらないといった症状が出る場合があります。
「顔と頭の汗の量がひどい」、「髪の毛が汗でびっしょり」などといった悩みをお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
このような汗の原因はさまざまですが、時には他の病気が関係していることもあるため、早期の対策や適切な治療が大切です。
顔や頭は目立ちやすいため他人の視線が気になって人との接触を避けるなど、日常生活にまで影響が出て悩まれている方も少なくありません。
そこで今回は、下記について詳しく解説させて頂きます。

  • そもそも汗の役割や仕組みとは?
  • 顔と頭の汗がすごい原因と対処法は?
  • 顔と頭の汗を止める方法、治療はある?
  • 顔と頭の汗がすごい場合の病院は何科?

そもそもなぜ汗は出るの?【汗の役割と仕組み】

そもそもなぜ汗は出るの?【汗の役割と仕組み】

汗が出るという現象はごく自然な事のように感じていますが、そもそもどうして人間は体から汗が出るのでしょうか?
まずは、汗の役割や仕組みついて詳しく解説していきます。

汗の主な役割と効果

汗には主に、以下のような役割や効果があります。

体温を調節する

汗の大きな役割がこの体温調節です。
汗が皮膚の表面で蒸発して体の表面温度を下げ、体温を一定に保ちます
暑い時や運動した時に汗が出るのは体温の上昇を抑えるためです。

老廃物や毒素を排出する

汗には老廃物や毒素、余分な水分などを体内から排出する役割もあります。
老廃物や毒素などが排出される事で体内の浄化が促進される効果があります。
また、皮膚の汚れや古い角質なども排出するため美肌効果もあると言われています。

皮膚を保護する

汗には保湿成分(天然保湿因子)が含まれており、皮膚を潤して保湿する効果があり肌を乾燥から守ってくれます
また、汗が皮脂と混ざり合うと皮脂膜を作って皮膚の表面を覆うため、肌を守るバリア機能の役割もあります。

汗を分泌する「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」

汗を分泌する「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」

人間の体には汗を分泌するエクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類の汗腺があります。

エクリン汗腺とは

エクリン汗腺は、全身に存在する汗腺で皮膚の浅い所にあります。
エクリン汗腺から分泌される汗の99%が水分で残りはごくわずかな塩分やアンモニアです。
無色透明、ほぼ無臭でサラサラしているのが特徴です。
このエクリン汗腺から大量に汗が分泌される症状が多汗症です。
多汗症の人は特に「手、足先や脇、額、胸」などエクリン汗腺が多く分布している部位に汗をかきやすくなります。

アポクリン汗腺とは

アポクリン汗腺は、「脇、陰部、乳首、耳」など、毛包が存在する限られた部位に分布する汗腺です。
アポクリン汗腺から分泌される汗は、乳白色でベタベタとし粘り気のあるのが特徴です。
脂肪酸や脂質、タンパク質、糖質、アンモニア、鉄分、蛍光物質などニオイのもととなる成分が多く含まれています。
わきが臭の原因となるのがこのアポクリン汗腺です。
アポクリン汗腺は毛包に存在するため、脇毛の毛量が多い人の方が必然的にわきがを発症しやすいと言えます。

汗をかく仕組み「3種類の汗」

汗には大きく分けて、以下の3つの種類があります。

温熱性発汗

温熱性発汗は、体温調節のために起こる汗です。
気温が高い時や運動後などに体温が上がると、汗をかくことで体を冷やします
温熱性発汗は全身に見られ、持続的に発汗して体温調節を行っています。

精神性発汗

精神性発汗は、緊張やストレス、興奮などの精神的な刺激によって発生します。
主に手のひら、足の裏、額など特定の部位に見られ、突然のプレッシャーや不安を感じた時などに多くなります

味覚性発汗

味覚性発汗は、辛い物や酸っぱいものなど、特定の食べ物を食べた時に起こります
特に額や鼻の周り、頭などに見られることが多く、食べ物の刺激が汗腺を刺激して発生します。

顔と頭の汗がすごい原因は多汗症?

顔と頭の汗がすごい原因は多汗症?

顔と頭の汗がすごい場合に考えられる原因はさまざまですが、その症状が汗をかく場面でない時に起こる、または頻繁に起こるという場合には多汗症の可能性があります。
頭の多汗症を「頭部多汗症」、顔の多汗症を「顔面多汗症」と言いますが、両方を合併している場合も多くみられます。
多汗症の原因は、病気が要因となっているかによって大きく2種類に分けられます。
では、多汗症になる原因について詳しくみていきましょう。

続発性多汗症

続発性多汗症

続発性多汗症は、何らかの病気が原因で発生する多汗症で、特定の部位だけでなく全身に汗をかくことが多いのが特徴です。
内分泌疾患、神経疾患、感染症、薬の副作用、肥満、更年期障害なども原因となる場合があります。
続発性多汗症の代表的な病気について詳しく解説します。

自律神経失調症

自律神経失調症は、自律神経のバランスが乱れることで発生する病気です。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、常に体温調節や心拍数、消化などの機能をコントロールしています。
しかし、ストレスや生活習慣の乱れ、過労などが原因でこのバランスが崩れると、自律神経が正常に働かなくなります
その影響で、汗腺のコントロールも難しくなり、軽い運動や気温の変化で過剰に汗をかくという症状が現れることがあります。
自律神経失調症のその他の症状には、動悸、息切れ、倦怠感、胃腸の不調、不眠、めまい、頭痛、不安、イライラ、手足のしびれ、うつ症状などがあります。

糖尿病

糖尿病とは、インスリンの働きが不十分で血糖値が慢性的に高くなる病気です。
高血糖状態が続くと、全身の器官や神経にダメージを与え、末梢神経や自律神経の障害を引き起こすことがあります。
その影響で、異常な発汗が生じる多汗症や無汗症の症状も現れる場合があります。
また、糖尿病によって喉の渇きが増し、水分摂取量が増えることで発汗量が増えるというケースもあります。
糖尿病による多汗症状は、甘酸っぱい臭いやべたつきが特徴です。
治療には血糖値のコントロールが重要で、他の合併症を防ぐためにも早期に医療機関を受診する事が重要です。
糖尿病のその他の症状としては、倦怠感、目のかすみ、皮膚のかゆみ、足のむくみ、手足のしびれなどがあります。

更年期障害

更年期障害は、主に女性が閉経前後(45歳~55歳頃)に経験する身体と精神の不調を指します。
更年期には、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少し、自律神経が乱れるためさまざまな症状が現れます
特に、顔がほてる、のぼせる、急に熱くなって汗をかく「ホットフラッシュ」が症状としてよく見られます
他にも、動悸、息切れ、冷え、不眠、イライラ、頭痛、吐き気、疲労感、肩こり、うつ症状などが現れることがあります。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、新陳代謝が異常に活発になる病気です。
その影響で、体が熱さを感じやすくなり多量の汗をかく場合があります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)のその他の症状としては、眼球突出、動悸、息切れ、手の震え、倦怠感、イライラ、不眠、口の渇き、体重変動、下痢、月経不順などがあります。
甲状腺ホルモンの過剰分泌が原因であるため、症状を改善するためには適切な治療が必要です。

その他(神経障害・感染症・薬の副作用など)

続発性多汗症のその他の原因としてはパーキンソン病などの神経系の病気、結核やHIVなどの慢性感染症、抗うつ薬や降圧薬などの副作用などにより多汗の症状を引き起こす場合があります。

原発性多汗症

原発性多汗症

原発性多汗症は、特定の病気やその他の外部要因に関係なく、体の特定の部位で過剰な発汗が起こる多汗症です。
原発性多汗症の原因はさまざまですが、以下のような事が関係していると言われています。

遺伝

はっきりと証明された訳ではありませんが、原発性多汗症の患者の家族に同じような症状のある人が多いなどの報告が見られるため、遺伝の可能性はあるとされています。
ちなみに、わきが(腋臭症)のほとんどは優性遺伝によるものとされており両親がわきが(腋臭症)である場合には、その子供は約80%の確率で遺伝すると言われています。

自律神経やホルモンバランスの乱れ

自律神経やホルモンバランスの乱れは、交感神経を刺激し、発汗を促したり汗を増加する事があります
緊張や不安、疲労や睡眠不足などの精神的なストレスが自律神経の乱れにつながり、多汗症状を引き起こす原因となります。

食生活や生活習慣の乱れ

食生活や生活習慣の乱れも、交感神経を刺激し、多汗症の症状を引き起こす原因となる場合があります
また、運動不足で普段汗をかかない人の場合、汗腺機能が低下している可能性があります。
汗腺機能が低下すると、顔や頭などの汗腺が発達している特定の部位から多量の汗が出る場合があります。
汗腺機能の低下は多汗症状を引き起こす要因となります。

多汗症と汗っかきの違いは?見分ける方法はある?

多汗症と汗っかきの違いは?見分ける方法はある?

人より顔や頭に汗をかく量が多いからと言って、すべての人が多汗症という訳ではありません。
もともとの体質や肥満などにより汗っかきの人もいます。
では、多汗症と汗っかきの違いはどのように見分ければいいのでしょうか。

多汗症と汗っかきの違いって何?

汗っかきの人は、主に運動や暑い環境などで体温を下げるために多くの汗をかきます
これは皮下脂肪が多い人に多く見られ、体温が上がりやすくなるためです。
一方、多汗症は体温調節が不要な状況でも大量の汗をかくことが特徴です。
例えば、リラックスしている時や寒い季節でも汗をかき、衣服に汗ジミができるほど汗が出る場合もあります。
汗っかきは体温調節の一環としての自然な反応ですが、多汗症はその範囲を超えており、季節や状況に関係なく発汗が過剰になります。
つまり、体温調節が不要な状況で汗をかく場合は多汗症の可能性が高いという事です。

多汗症かどうかを判断する基準!多汗症のセルフチェック

多汗症がどうかを判断する基準となる項目があります。
該当する項目が多いほど多汗症である可能性は高くなります
以下に、頭部多汗症、顔面多汗症のチェック項目をまとめましたので、気なる方は一度チェックしてみて下さい。

  • 症状が25歳以下で出始めた
  • 汗をかくのは左右対称である
  • 1週間に1回以上頭や顔に過剰な汗をかく
  • 暑くなくても頭や顔に多量の汗をかく
  • 髪の毛がびっしょりと濡れるくらい汗をかく
  • 頭や顔からの汗がなかなか止まらない
  • 寝ている時はあまり汗をかかない
  • 多量の汗により日常生活に支障をきたしている
  • 家族に多汗症の人がいる

顔と頭の汗がすごい場合、自分でできる対策や対処法は?

顔と頭の汗がすごい場合、自分でできる対策や対処法は?

頭と顔の汗がすごい原因が多汗症である場合、なおかつ症状が軽い場合には、自分でできる対策や対処法でも症状が改善される可能性はあります。
ただ、症状がひどい場合には適切な治療が必要です。

生活習慣を見直す

生活習慣の乱れが交感神経を刺激し、多汗症の症状を引き起こしている可能性があるため、生活習慣を見直す事で症状が改善する場合もあります。
過度な飲酒や喫煙は控え十分な睡眠とストレスの軽減、適度な運動など、規則正しい生活を心がけましょう

食生活を改善する

食生活の乱れ、特定の食べ物などが交感神経を刺激し、多汗症の症状を引き起こしている場合もあります。
栄養バランスの取れた食事を摂り、発汗を誘発する辛い食べ物や刺激の強い食べ物を控えましょう

制汗剤などで汗を抑える

市販で売っている制汗剤や制汗シートでも、一時的に汗を抑えたりニオイを軽減できる物が沢山あります
長時間効果が持続するものではありませんが、症状があまりひどくないのであれば、これらの対策グッズでも対処できるかもしれません。

顔と頭の汗を止める方法はある?多汗症治療の種類】

顔と頭の汗を止める方法はある?【多汗症治療の種類】

顔や頭の汗を完全に止めたり、汗をかかないようにする事ができません。
ですが、多汗症の治療にも多くの種類があり、その人の症状に合わせた適切な治療で症状は大幅に改善されます。
顔や頭、手や足、脇など、どの部位の多汗症かまたは全身性の多汗症かによって治療方法は異なりますが、ここでは多汗症の主な治療法についてご紹介させて頂きます。

漢方による治療

一般的に多汗症の治療薬には西洋薬が使われますが、漢方薬による治療との併用で治療するという方法もあります
漢方の服用により、多汗症の原因となる自律神経の乱れを正常化させる事で、多汗症の症状の改善が期待できます。

外用薬による治療

「パースピレックス」「エクロックゲル」などの塩化アルミニウムが主成分の医療用制汗剤患部に塗布し、汗腺を一時的に塞いで発汗を抑えます

ボトックス注射による治療

ボトックス注射は、ボツリヌス毒素を使用して汗腺の神経(アセチルコリン)を一時的に麻痺させ、汗腺の働きを抑える治療法です。
効果は約3ヶ月で長期間持続するものではありません。

手術による治療

汗腺除去手術

多汗症の原因となる汗腺を切除する手術です。
手術の方法にはさまざまな種類があり、クリニックによってもその手術法は異なります。
汗腺を直接除去するため、症状が重度の方にも高い効果が期待できますが、術後の傷跡やダウンタイムなどがあるため、医師と十分に相談して決定する必要があります。

レーザーによる治療

高周波・マイクロ波治療

高周波やマイクロ波を照射して、汗腺を破壊する治療法です。
皮膚の表面に高周波エネルギー、またはマイクロ波エネルギーを照射することで、汗腺を熱破壊して発汗を減少させます。
汗腺除去手術と同等の効果があるとされており、エクリン汗腺だけでなくわきがの原因となるアポクリン汗腺の両方に効果を発揮します。
また、汗腺除去手術と違って皮膚を切開する必要がないため、体への負担が少なくダウンタイムもほぼないなどメリットの多い治療法と言われています。
※上記でご紹介した多汗症の治療法には、顔面多汗症や頭部多汗症には適さない治療法も含まれています。

顔と頭の汗がすごい場合、多汗症治療をするなら病院は何科?

顔と頭の汗がすごい場合、多汗症治療をするなら病院は何科?

症状がひどい場合でも、前項でご紹介した多汗症の適切な治療で症状は大幅に改善することが可能です。
最後に、多汗症の診察が可能な病院についてご紹介します。

多汗症の診察や治療をしてくれるのは何科?

多汗症の診察や治療は、主に、皮膚科、形成外科、美容外科、美容皮膚科などで行っています。
ただし、病気や神経疾患などが原因である多汗症の場合はそれぞれ専門の医療機関での受診が必要です。
例えば神経疾患の場合は「神経内科」更年期障害の場合は「産婦人科」などを受診するのが良いでしょう。
治療中の病気や服用している薬などがある方の場合は、まずは主治医に相談してみるのが良いでしょう。

【宇都宮】でワキガ・多汗症治療ならグランツクリニックへ

【宇都宮】でワキガ・多汗症治療ならグランツクリニックへ

今回は、「顔と頭の汗がすごい」場合の、原因や対処法、治療法などについて詳しくご紹介させて頂きました。
顔や頭などの目立ちやすい部位の多汗症は、「人の視線が気になって外に行けない」「人と接する事が億劫になる」など、精神的にも大きな影響を及ぼす場合があります。
その精神的ストレスがさらに多汗症を悪化させる恐れもあります。そのため、一人で悩まずにまずは医療機関に相談し、早めに適切な治療を受けることが大切です。
当院でも、無料カウンセリングを行っており、患者様の体質や症状に適した治療を提供しております。
今回ご紹介した多汗の症状でお悩みの方は、是非一度当院の無料カウンセリングをご利用下さい。

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院長 永嶋啓一

院長 永嶋啓一

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