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【※医師監修】『ちょっと動くと汗が出る』のは代謝が良いだけ?病気じゃない?【原因と対策】

グランツクリニック 院長 永嶋啓一

記事監修
グランツクリニック院長
永嶋 啓一

経歴

2013年 埼玉医科大学 医学部 卒業
2013年 埼玉医科大学総合医療センター
形成外科・皮膚科・麻酔科
2015年 品川美容外科 勤務
2016年 品川美容外科 品川本院 主任 / 新潟院 院長
2016年 東京中央美容外科 宇都宮院 院長
2018年 東京中央美容外科 新宿院 院長
2019年 銀座国際美容外科 勤務
2019年 グランツクリニック 開院

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暑い時や運動後に「汗をかく」というのは自然な事です。
しかし、ちょっと動いただけで汗が出る場合、「何かの病気?」と不安を感じる方もおられるのではないでしょうか。
多くの人は「汗をかくことは健康に良い」「汗をかくのは代謝が良い証拠」と考えますが、少し動いただけで大量に汗をかく場合は、必ずしも代謝が良いというわけではありません。
実際、代謝が悪くても汗をかくことがあります。
また、汗の性質、汗をかくタイミング、汗の量などにより、何か体に問題が起きている可能性もあります。
そこで今回は、以下について詳しく解説させて頂きます。

  • ちょっと動いただけで汗が出るのは何故?
  • 代謝が良いのと汗っかきは違う?
  • ちょっと動いただけで汗が出る原因と対策は?

『ちょっと動くと汗が出る』のは何故?代謝が良すぎるから?

『ちょっと動くと汗が出る』のは何故?代謝が良すぎるから?

汗をかきやすい人の事を「代謝が良い人」、「痩せやすい体質の人」と言う場合もありますが、本当にそうなのでしょうか。
そもそも代謝が良いとはどういう事なのか?
代謝が良い人にはどんな特徴があるのか?
まずは、発汗と代謝の仕組み、基礎代謝や新陳代謝との違いなどについて解説していきたい思います。

そもそも代謝が良いってどう言う事?基礎代謝と新陳代謝の違いは?

代謝とは、『人が体内でエネルギーを作り出して使う』という、体内で行われる一連の化学反応の事を指しています。
簡単に言うと、人が食べた物をエネルギーに変えて活動し、体を維持するための仕組みです。

基礎代謝とは?

基礎代謝とは、人が生きているだけで必要とするエネルギーです。
人が1日に消費するエネルギーの約60%がこの基礎代謝であると言われています。
基礎代謝は、寝ている時や安静にしている時でも、呼吸、心臓の鼓動、体温維持など、生命を維持するために使われます。
基礎代謝の量は、年齢や性別、体重や筋肉量などによって異なります。
基礎代謝が多いと、より多くのカロリーが消費されるため、太りにくくなると言われています。

代謝が良い人ってどんな人?基礎代謝量が高い人の特徴

代謝が良い人とは、体がエネルギーを効率よく消費する人の事を言います。
基礎代謝量が高いため1日の消費エネルギーが高く、健康や体力が保たれやすくなると言われています。
基礎代謝量が高い人には以下のような特徴があります。

  • 筋肉量が多い・・・筋肉は脂肪よりも多くのエネルギーを消費します
  • 年齢が若い・・・若い人ほど基礎代謝量は高い傾向にあります
  • 男性・・・女性に比べて男性は筋肉量が多く、基礎代謝量が多いと言われています
  • 活動的・・・運動習慣がある人は、筋肉量が増えるため代謝が高まります

1日の消費エネルギー量の構成

人間の1日の消費エネルギー量は、主に以下の3つの要素で構成されています。

  • 基礎代謝量・・・全体の約60~70%体が安静にしている時にも消費するエネルギーで、心臓の鼓動や呼吸、体温維持などに使われます。
  • 身体活動量・・・全体の約20~30%運動や日常生活などの動作で消費されるエネルギーで、歩く、運動する、家事をするなどが含まれます。
  • 食事誘発性熱産生量・・・全体の約10%食事の消化、吸収、代謝に使われるエネルギーです。

上記を合計したものが、人間の1日の総消費エネルギー量になります。
消費エネルギーの6~7割を占めるのが基礎代謝量であるため、基礎代謝量が高い人が「代謝が良い人」という事になります。

基礎代謝と新陳代謝の違いを分かり易く解説!

基礎代謝と新陳代謝の違いを分かり易く解説!

「基礎代謝」とよく似た言葉で「新陳代謝」と呼ばれるものがあります。
基礎代謝と新陳代謝の違いを簡単に言うと、基礎代謝は「生きるために最低限必要とされるエネルギー消費」で、新陳代謝は「細胞が新しくなるプロセス」です。

基礎代謝 ・体が安静状態にある時に消費するエネルギー
・鼓動、呼吸、体温維持など生命維持に必要な最低限のエネルギー
・1日の消費エネルギーの約60~70%
新陳代謝 ・細胞が古いものから新しいものに入れ替わる事
・傷の治癒や皮膚の再生、細胞の修復など
・体内のさまざまな化学反応を含む

新陳代謝は年齢とともに衰えていく傾向にあるため、年齢を重ねるにつれ傷が治りにくかったり肌や髪の老化などが現れます。

「発汗」と「代謝」について!その仕組みと役割

「代謝」の役割は人が生きていく上で大切なエネルギーの消費活動です。
では、発汗にはどのような役割があるのか?について見てみましょう。

発汗の主な役割とは?

発汗には主に以下のような役割があります。

  • 体温調節・・・汗が皮膚の表面で蒸発する事で体の表面温度を下げ、体温を一定に保ちます。暑い時や運動した時に汗が出るのはこのためです。
  • 老廃物の排出・・・汗と共に体内の不要な老廃物や毒素、また余分な水分などが排出されます。老廃物が排出される事で体内の浄化が促進されます。
  • 皮膚の保護・・・汗には皮膚を潤して保湿する効果があり、皮膚の乾燥を防いで皮膚を保護します。

上記のように、発汗には健康を維持するために欠かせない重要な役割があります

「代謝が良い」のと「汗っかき」は違うの?代謝が悪くても汗は出る?

「代謝が良い」のと「汗っかき」は違うの?代謝が悪くても汗は出る?

代謝が良い人は、体内で生み出されるエネルギーが多く体温が高めで汗をかきやすい特徴があります。
しかし、代謝が悪くて汗をかきやすい人もいます
代謝が良い人と単に汗っかきな人の違いはいったい何なのか?
ここでは良い汗と悪い汗との違い、代謝が悪くて汗っかきな人の特徴などについて詳しく解説します。

汗にも「良い汗」と「悪い汗」がある?!違いはどうやって分かる?

汗にも良い汗と悪い汗があるというのは、聞いた事がある人もいるかも知れませんが、実際どういった違いがありどのように見分ければ良いのでしょうか?

良い汗の特徴と見分け方

良い汗は、健康的な発汗であり体温調節や老廃物の排出に役立つ汗の事を指します。
体の自然な反応で適切な環境で発生し、体の健康を保つ重要な役割を果たします
良い汗の特徴と見分け方は以下の通りです。

良い汗の特徴 良い汗の見分け方
透明で無臭・・・健康的な汗は透明で臭いが少ない 環境に応じて出る ・・・運動や暑さに反応して出る汗は良い汗
適度な量・・・運動や暑い時などにかく汗は体温調節を助ける べたつかない ・・・蒸発しやすくベタつきが少ないのは良い汗
さらさらした質感 ・・・水分が多くさらさらしている 臭いが少ない ・・・健康的な良い汗は臭いが少ない

悪い汗の特徴と見分け方

悪い汗は、健康的でない状態で発生する汗の事を指します。
悪い汗は体のバランスが崩れているサインであったり、ストレスや体調不良が原因となる事も多いです。
悪い汗の特徴と見分け方は以下の通りです。

悪い汗の特徴 悪い汗の見分け方
強い臭い・・・不健康な汗は、強い臭いがする※皮膚の細菌が汗の成分と反応して臭いを発生させる 常に汗が出る・・・気温や運動量に関係なく、頻繁にかく汗は悪い汗
べたつき感・・・ミネラルが多く、汗がベタつく 不快な臭い・・・汗の臭いが強く、不快な場合は悪い汗
不規則なタイミング・・・運動時や暑い時以外にも頻繁に汗が出る 粘り気のある汗・・・汗が乾いても皮膚にベタつきが残っている場合は悪い汗

代謝が悪くて汗っかきの人の特徴は?

代謝が悪くて汗っかきな人には、以下のような特徴があります。

  • 冷え性・・・代謝が悪いと体温が上がりにくいため、冷え性になりがち。体が過剰に汗をかいて体温を調節しようとします。
  • むくみやすい・・・代謝が悪いので、体内の水分や老廃物が滞留しやすく、むくみを感じることが多いです。
  • 疲れやすい・・・エネルギー代謝が低いため、少しの運動でも疲れやすく、汗をかきやすくなります。
  • 食欲不振・・・食事から摂取するエネルギーを効率よく利用する事ができず、食欲が減退する場合もあります。
  • 体重が変動しやすい・・・代謝が悪いと体重が増えやすかったり、反対に、急激に減少する場合もあります。

代謝が良いだけじゃない?『ちょっと動くと汗が出る』原因

代謝が良いだけじゃない!『ちょっと動くと汗が出る』原因

「ちょっと動くと汗が出る」場合に考えられる原因はさまざまで、運動不足や肥満などが原因で一時的に汗をかきやすくなっている場合もあります。
しかし、通常は汗をかかない場面でもよく汗をかく場合や汗の量が異常である場合には、体に別の原因がある可能性があるため注意が必要です。
「ちょっと動くと汗が出る」場合に考えられる主な原因について詳しく解説していきます。

自律神経失調症

自立神経失調症は、自律神経のバランスが乱れることで起こる症状です。
自律神経は、体温調節や心拍数、消化などの機能をコントロールしていますが、ストレスや生活習慣の乱れ過労などが原因で自律神経の働きが不安定になる場合があります。
自律神経が正常に働かない状態だと汗腺のコントロールがうまくいかず、軽い運動や少しの気温の変化で過剰に汗をかくことがあります。
自律神経失調症のその他の症状としては、動悸、息切れ、胃腸の不調、めまいなどがあります。

代謝異常(甲状腺機能亢進症・糖尿病)

代謝異常とは、体がエネルギーや栄養素を正しく処理できない状態の事を指します。
具体的な例としては、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などが挙げられます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。
新陳代謝が異常に活発になるため、体温が上昇し、少しの運動でも多量の汗をかく場合があります。
糖尿病も、血糖値の変動が大きく代謝に影響を及ぼして異常な発汗が起こる場合があります。
糖尿病は、インスリンというホルモンの働きが不十分で血糖値が慢性的に高くなる疾患です。
これらの疾患による代謝異常が原因である場合には、専門の医療機関を早期に受診する必要があります

更年期障害

更年期障害とは、主に女性が閉経前後(45歳~55歳頃)に経験する身体と精神の変化によるさまざまな不調です。
更年期にホルモンバランスが大きく変動することで、自律神経が乱れやすくなり、これが原因で汗をかきやすくなります
特によく見られる症状としては、「ホットフラッシュ(突然の発熱感と大量の発汗)」です。
その他の更年期の症状としては、イライラ、不眠、疲労感などがあり、日常生活に影響を与える場合があります。

多汗症

多汗症

代謝が良いわけではないのに「ちょっと動くと汗が出る」場合に考えられる原因として、多くの人が当てはまるのが多汗症です。
多汗症にも色々なタイプや症状があります。

多汗症の特徴と症状

多汗症とは、通常以上に汗をかく状態を指します。
特に、手の平や足の裏、脇の下や顔など特定の部位に多量の汗をかきやすいといった特徴があります。
症状がひどいと日常生活にも支障をきたし、心理的なストレスや社会的な困難を引き起こす場合もあります。

多汗症の種類

多汗症は、大きく分けると以下の2つの種類に分類されます。

  • 続発性多汗症・・・特定の原因があり、例えば内分泌疾患や感染症、薬の副作用などが原因となる多汗症です。
  • 原発性多汗症・・・特定の原因がない多汗症です。遺伝的要因や自律神経の異常によるものと考えられており、手の平や足の裏、脇の下に多く見られます。

多汗症の原因

多汗症の原因は完全には解明されていません
また、人によってさまざまで、自律神経の過剰反応や遺伝的要因が関係していると考えられています
ストレスや緊張、特定の食品や飲み物が、発汗を促す要因となる場合もあります。

多汗症の主な治療法

多汗症は生活に大きな影響を与えるため、症状に応じた適切な治療を受けることが重要です。
多汗症の主な治療法を以下にまとめてみました。

  • 外用薬・・・制汗剤にも使用されるアルミニウム塩などの薬を患部に塗布し、汗腺を一時的に閉鎖して発汗を抑える。
  • ボトックス注射・・・特定の部位に注射することで、神経信号をブロックし発汗を抑制する
  • 手術・・・汗腺を切除する「汗腺除去手術」などがあります。
  • ミラドライ・・・マイクロ波を照射して汗腺を熱破壊します。汗腺除去手術と同等の効果があるとされています。

『ちょっと動くと汗が出る』※予防や対策は?

『ちょっと動くと汗が出る』場合の予防や対策は?

「ちょっと動くだけで汗が出る」という原因は人それぞれですが、予防や対策でその症状が改善される場合もあります。
ただし、汗の原因や症状によっては医療機関での治療が必要になる場合もあるので、改善が見られない時は早めに専門の医師に相談する事が重要です。
では、日常で出来る予防や対策を見ていきましょう。

適切な服装を選ぶ


吸湿性や通気性の良い服を選んで着用する
ことで、汗をかいても快適に過ごすことができます。
また、重ね着するなど服装を工夫して、温度に応じて脱ぎ着しやすい服を選ぶのも良いでしょう。

日常的にケアする

汗をかきやすい部分はこまめに拭いたりシャワーを浴びるなど、いつも清潔に保つことも大切です。
また、制汗剤やデオドラントを使用するのもおすすめです。
制汗剤には汗腺をふさいで、汗による雑菌の繁殖、ベタつきやニオイを抑える効果があります。

生活習慣を見直す

ストレスや睡眠不足、飲酒や喫煙などの生活習慣の乱れは、交感神経を優位にし発汗を促す恐れがあります。
規則正しい生活を心がけて十分な睡眠を確保し、体の調子をしっかりと整えることが大切です。
リラクゼーションや深呼吸、瞑想などでストレスも上手に軽減しましょう。

食生活を改善する

食生活の乱れや交感神経を優位にする食べ物などが、発汗を促す恐れがあります。
カフェインやスパイシーな食べ物、アルコールなどは控え栄養バランスの取れた食事をしましょう。
汗をかいた後は適切な水分補給を行い、体内の水分バランスを保つことも大切です。

適度な運動と休息を心掛ける

適度な運動は、体温調節機能を高めたり汗腺機能を改善する効果があります。
また、運動後はしっかりと休息を取ることも大切です。

症状がひどい場合は医療機関を受診する

ここまでご紹介した予防や対策でも症状が改善されない場合、また症状がひどい場合には、早めに医療機関を受診する事をおすすめします

「多汗症」の場合におすすめの治療法は?

「多汗症」の場合におすすめの治療法は?

最後に、「ちょっと動くだけで汗が出る」原因が多汗症である場合に、おすすめの治療法についてご紹介させて頂きます。

切らない治療「ミラドライ」

ミラドライ

多汗症の症状がひどい方、また強いニオイを伴う汗に悩まされている方(ワキガを併発している可能性のある方)には、当院でも行っているミラドライによる治療がおすすめです。

ミラドライの治療内容

ミラドライは、マイクロ波エネルギーを使用して汗腺を破壊する治療法です。
具体的には、脇の下の汗腺に対してマイクロ波を照射し多汗症とわきがの原因となる汗腺を熱破壊します。

ミラドライ治療のメリット

ミラドライ治療には、以下のような多くのメリットがあります。

  • 効果・・・多汗症やワキガの原因となる汗腺を破壊するため、汗腺を除去する場合と同じように、一度治療を受けると半永久的な効果が期待できます
  • ダウンタイム・・・切開手術のように皮膚を切る事がないため、体への負担が少なく、手術後のダウンタイムがほぼありません。施術時間も約1時間程度で済むため、合併症などのリスクも大幅に軽減できます。
  • 即効性・・・治療後すぐに効果を感じられる方も多く、日常生活への影響もほとんどありません。
  • 安全性・・・ミラドライはFDA(アメリカ食品医薬品局)に承認されている治療法であり、その高い安全性が確認されています。日本国内では、唯一、原発性腋窩多汗症の薬事承認を取得してます

【宇都宮】でワキガ・多汗症治療ならグランツクリニックへ

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今回は、「ちょっと動くだけで汗が出る」原因や対策について詳しくご紹介させて頂きました。
原因はさまざまですが、汗の量が多い場合や汗をかくタイミングがおかしいと感じる場合には、多汗症やその他の疾患が原因であると考えられます。
多汗症には症状に合わせたさまざまな治療法もあり、適切な治療で症状も改善されますので、一人で悩まずにまずは医療機関に相談してみましょう。
当院でも無料カウンセリングを行っており、患者様の体質や症状に適した治療を提供しております。
今回ご紹介した多汗の症状でお悩みの方は、是非、一度当院の無料カウンセリングをご利用下さい。

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院長 永嶋啓一

院長 永嶋啓一

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