【医療脱毛の副作用・リスク】本当に安全か?クリニック院長が解説
記事監修
グランツクリニック院長
永嶋 啓一
経歴
2013年 | 埼玉医科大学 医学部 卒業 |
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2013年 | 埼玉医科大学総合医療センター 形成外科・皮膚科・麻酔科 |
2015年 | 品川美容外科 勤務 |
2016年 | 品川美容外科 品川本院 主任 / 新潟院 院長 |
2016年 | 東京中央美容外科 宇都宮院 院長 |
2018年 | 東京中央美容外科 新宿院 院長 |
2019年 | 銀座国際美容外科 勤務 |
2019年 | グランツクリニック 開院 |
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本当に安全?医師が解説!医療脱毛の副作用とリスク
医療脱毛は、十分な安全を配慮した上で医師や看護師が施術を行うため、安全性の高い脱毛方法と言えます。
しかし、医療脱毛はレーザーで熱を発生させ毛根や発毛組織を破壊する施術であり、肌にも少なからず負担がかかるため、副作用や肌トラブルなどが起こる可能性があります。
施術後に起こりうる症状や原因、予防や対処法など、医療脱毛の副作用やリスクについて詳しく解説します。
施術後の赤み、むくみ、ヒリヒリ
皮膚が薄い箇所や太く濃い毛が生えている部位などは、施術後に赤みやむくみが起こりやすく、ヒリヒリするといった症状が出やすい傾向にあります。
また、もともと肌や皮膚が弱い人、肌が白い人は、赤みが目立ってしまう場合があります。
しかし、この症状はレーザーの熱による毛根周りの皮膚の軽い炎症であり副作用ではありません。
施術後ほとんどの場合に出る症状で、数時間~数日で自然と治るのが一般的です。
知っておきたい医療脱毛4つの副作用・リスク・肌トラブル
①【火傷(やけど)・炎症】症状、起こる原因は?
火傷による炎症を起こしている場合、数日経過しても赤みや炎症、ヒリヒリとした痛みが治まらないなどの症状が現れます。
起こる原因としては 、
- 肌の乾燥や肌荒れなどにより、肌が熱のダメージを受けやすくなっていた
- 日焼けした肌・太く濃い毛が生えている部位などに、レーザーの熱が過剰に反応してしまった
- レーザー脱毛機の照射出力の調整が不十分だった
などが挙げられます。
レーザーの照射出力を弱めることで火傷のリスクは低くなりますが、弱めすぎると脱毛効果も低くなるため、肌質や毛質、肌の状況に応じて適切な施術を行うことが重要です。
医療脱毛では、その人の肌質や毛質に合わせて出力を調整し施術を行いますが、まれに火傷の症状が出てしまう場合もあります。
火傷の予防
【クリニックでの予防】
クリニックでは、
- 毛質や肌質、肌の状態に合わせてレーザーの照射出力を最適な強度に調整する
- 冷却しながら行う、施術後に患部を冷却する
- 照射前に肌を保護するジェルなどを塗る
- 日焼け止めクリームを使用し保湿する
- 施術後、炎症止めの軟膏を塗る
など、火傷のリスクを最小限に抑えるよう施術を行っています。
また、クリニックによっては、何種類かの脱毛機を肌の状態に合わせて使い分けたり、もともと火傷のリスクが少ない蓄熱式の脱毛機を使用しているところもあります。
【自分でできる予防】
自分でできる予防としては、保湿ケアやUVケアをしっかりと行うことです。
乾燥している肌、日焼けした肌は、火傷を引き起こすリスクが高くなるため、日ごろからしっかりと肌のお手入れをしておきましょう。
火傷の対処法
【クリニックでの対処法】
炎症を悪化させないための薬を処方、医師が診察し適切な処置を行います。
その際の診察や治療・薬代などは、無料で対応してもらえる場合がほとんどです。
【自分でできる対処法 】
患部を冷たいタオルや保冷剤などで冷やし、できるだけ肌を温めないようにする。
症状が酷い場合は、クリニックに連絡し、医師による適切な処置を受けましょう。
②【毛嚢炎(もうのうえん)】症状、起こる原因は?
毛穴の奥の毛包に雑菌が侵入し毛嚢炎になると、プツプツとした赤や白のニキビのようなものができ、ひどくなるとかゆみや痛みなどの症状が現れます。
起こる原因としては 、
- レーザーの熱により肌のバリア機能が低下し、毛穴に雑菌が侵入した
- 皮脂の分泌が多く、雑菌が侵入しやすい状態になっていた
- 普段から肌が弱く、ニキビなどが出来やすい体質だった
- カミソリなどの自己処理による肌のダメージで発症した
などが挙げられます。
毛嚢炎は、皮脂分泌の多い顔や背中、濃く太い毛が生えているアゴやワキ、デリケートゾーンなどの部位で発症しやすい傾向にあります。
放置すると、色素沈着や黒ずみの原因へとつながる恐れがあります。
毛嚢炎の予防
【クリニックでの予防】
クリニックでは、毛質や肌質、肌の状態に合わせてレーザーの照射出力を調整することで、毛嚢炎のリスクを最小限に抑えるよう施術を行っています。
【自分でできる予防】
自分でできる予防としては、
- 汗はこまめに拭き取り、できる限り肌を清潔に保つ
- ムダ毛の自己処理などで肌を傷つけないようにする
- 十分な保湿ケアを心掛ける
などが挙げられます。
毛嚢炎は、菌が感染することにより発症するので、肌を清潔に健やかに保つことが大切です。
また、ムダ毛の自己処理により発症する場合もあるため、施術前や施術後のカミソリなどによる自己処理は避けましょう。
毛嚢炎の対処法
【クリニックでの対処法】
炎症を悪化させないための薬を処方、医師が診察し適切な処置を行います。
その際の診察や治療・薬代などは、無料で対応してもらえる場合がほとんどです。
【自分でできる対処法】
色素沈着を起こす恐れもあるため、症状が現れた場合はクリニックに連絡し、医師による適切な処置を受けましょう。
③【硬毛化・増毛化】症状、起こる原因は?
レーザー照射を受けた部位の一部の毛が、濃く太く見える、量が増えたように感じるなどの症状が現れます。
もともと産毛や細い毛が多い部位(背中・二の腕・うなじ)などに、症状が現れやすい傾向にあります。
起こる原因としては 、レーザーの照射で破壊しきれなかった発毛組織が、逆に活性化してしまったという事が考えられますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。
硬毛化・増毛化の予防
【クリニックでの予防】
クリニックでは、
- 毛質や肌質、肌の状態に合わせて使用する脱毛機の種類を使い分ける
- 硬毛化や増毛化が起こりにくい脱毛機(蓄熱式脱毛機など)を使用する
など、硬毛化や増毛化のリスクを最小限に抑えるよう施術を行っています。
レーザーの熱が伝わりにくい産毛や細い毛にも対応できる脱毛機であれば、発毛組織を破壊しきれなかったというリスクを抑えることができます。
【自分でできる予防】
硬毛化や増毛化のリスクが低い脱毛機を使用しているクリニックを選ぶ、また、症状が現れた場合に、追加照射などの対処をしっかりと明言しているクリニックなどを選びましょう。
硬毛化・増毛化の対処法
【クリニックでの対処法】
ほとんどの場合、照射を続けることで発毛組織を完全に破壊することできます。
硬毛化や増毛化により、契約期間内に脱毛が完了しなかった場合、追加照射の費用に関してはクリニックにより違いがあります。
④【打ち漏れ・照射失敗】症状、起こる原因は?
施術後2~3週間が経過しているのに、1つの箇所だけ集中して毛が残っている、毛が整列した状態で残っているといった症状が現れる場合は、照射ミスによる打ち漏れが考えられます。
起こる原因としては 、
- レーザーの照射角度や照射間隔などを誤った
- 施術範囲全体を均等に照射できなかった
- 痛みにより施術中に体を動かしてしまった
ことなどが考えられます。
照射範囲が狭く、凹凸の多い形状が複雑な部位などは、打ち漏れが起こりやすい傾向にあります。
照射の失敗がなければ、施術後2~3週間程度で毛は自然と抜け落ちます。
うち漏れ・照射失敗の予防
【クリニックでの予防】
クリニックでは、
- 施術箇所にマーカーを引いて施術を行う
- 余裕のある予約時間を設け、丁寧な施術を行う
- 社内研修などを行い、施術者の技術力の向上に努める
- 広い範囲への照射が可能な脱毛機を使用する
など、打ち漏れ・照射失敗のリスクを最小限に抑えるよう施術を行っています。
施術者による技術力の違いにより発生しやすい打ち漏れも、照射範囲が広い蓄熱式のレーザー脱毛機などを使用することでリスクを低くすることができます。
【自分でできる予防】
施術中はできるだけ体を動かさないようにする、また、照射範囲が広い脱毛機を使用しているクリニックを選ぶことで、打ち漏れのリスクを抑えることができます。
うち漏れ・照射失敗の対処法
【クリニックでの対処法】
ほとんどのクリニックで、優先的に予約を取り無料での追加照射を行っていますが、保証期間はクリニックにより異なるため確認が必要です。
【自分でできる対処法】
剃毛などは行わず、そのままの状態でクリニックに連絡をし、再照射の予約を取りましょう。
医療脱毛の副作用とリスクまとめ
・医療脱毛による副作用やリスクはゼロではありません。
・しかし、これは医療脱毛に限らず、エステサロンの光脱毛や家庭用脱毛器などで行う脱毛に関しても同じです。
・万が一トラブルが発生した際、医療脱毛ならすぐに対処することが可能です。
・副作用やリスクに関する説明や対処について、さらに保証などがしっかりとしているクリニックを選ぶとより安心です。
自分で出来る医療脱毛後の副作用、肌トラブル対策
ここまで紹介した自身で簡単に出来る予防法、対策についてもう一度まとめていますので、副作用や肌トラブルなどのリスクをできる限り抑えるため、施術後は自分でもしっかりとケアしておきましょう。
自分で出来る医療脱毛後の副作用、肌トラブル対策まとめ
・医療レーザー脱毛後の運動は控える
・赤み、むくみ、ヒリヒリが強い場合は冷やす
・医療脱毛当日の入浴はシャワーのみにする
・公共の温泉やプールは雑菌が入りやすいので控える
・アルコールの摂取は控える
・脱毛箇所の日焼けには注意
・搔きむしるなどの刺激を与えない
勘違いされがちな医療脱毛の副作用とリスク
医療脱毛による副作用やリスクがあるのは事実ですが、中には勘違いされているケースもあります。
よく耳にする噂や情報の中で、勘違いされがちな医療脱毛の副作用とリスクについて詳しく解説します。
医療脱毛で癌(皮膚がん)になるリスクはない
医療脱毛のレーザーが原因で、癌(皮膚がん)になることはありません。
皮膚がんの原因となるのは「紫外線」で、紫外線が皮膚細胞の遺伝子を傷つけ、その後正常に修復できなかったことにより、がん細胞が発生するとされています。
一方、医療脱毛のレーザーの光は「赤外線」に近いものになります。
赤外線の光は、皮膚表面から3~4ミリ程度の場所(毛包に達する程度)までしか届くことはなく、遺伝子まで傷つけることがないため、がん細胞が発生するリスクはありません。
医療脱毛の副作用で汗の量が増える事はない
基本的に、医療脱毛の副作用により汗の量が増えるようなことはありません。
汗の量が増えたと感じるのは、今まで汗が留まっていたムダ毛が医療脱毛により無くなったことで、汗が肌に伝わるのを感じやすくなったいうケースがほとんどです。
ただ、まれに起こる症状として「脱毛後多汗症」「精神性発汗」などがあります。
- 脱毛後多汗症・・・脱毛のレーザーが汗腺に直接影響を与えることはないが、脱毛行為が発汗刺激となり、一時的に汗が増えるとされる症状
- 精神性発汗・・・脱毛による緊張やストレス、脱毛した部位を過剰に意識してしまうことなどが原因で、汗が増えるとされる症状
いずれも医学的に証明されておらず、すぐに元に戻る場合がほとんどなので心配はいりません。
副作用・リスク・肌トラブルに関するよくある質問
最後に、医療脱毛の『副作用・リスク・肌トラブル』に関して、よくある質問を以下にまとめました。
日ごろから薬を服用していますが副作用やリスクは?
服用している薬によっては、副作用が出る可能性があります。
薬の影響で肌がレーザーの刺激を感じやすくなり、光線過敏症による肌トラブル、施術後の体調悪化などを招く恐れがあります。
光線過敏症を発症すると、皮膚の赤みが強く出たり、かゆみ、発疹、むくみ、ただれなどの症状が現れることもあり、施術が受けられない場合もあります。
薬を服用している場合は自己判断せず、契約前のカウンセリング時や施術前に必ず伝えましょう。
副作用のリスクがある主な薬の種類
『光線過敏症』を発症するリスクのある薬
抗生剤を含む風邪薬・抗ヒスタミン剤・抗不安剤・三環系抗鬱剤・テトラサイクリン系抗生剤・キノロン系抗菌薬・抗がん剤・抗不安薬など
『内出血』を起こすリスクのある薬
抗凝固剤、抗血小板薬など
※上記以外にも、ステロイドやピル、鎮痛剤や花粉症などの市販薬でも副作用が出る可能性があります。
医療脱毛でシミが出来る事はありますか?
シミを作る主な原因となるのは紫外線であり、医療脱毛のレーザーが、直接肌にシミを作るといった事はありません。
ただ、以下のような事が原因となり、脱毛後にシミが出来てしまう可能性はあります。
- やけど・・・施術後にやけどの症状が出てしまった場合、すぐに処置しないと色素沈着を起こしてシミが出来る場合があります
- 日焼け・・・脱毛後のお肌がデリケートな状態で紫外線を浴びると、通常よりシミが出来るリスクが高まります
- 摩擦や傷・・・脱毛後に施術した部位を搔きむしるなど、摩擦や傷によりメラニンが過剰生成され、色素沈着を起こしてシミが出来る場合があります
- 光線過敏症の発症・・・服用中の薬や体質などが原因で光線過敏症が発症すると、肌が炎症を起こし色素沈着を起こしてシミが出来る場合があります
メラニンの過剰生成やターンオーバーの乱れなどにより、色素沈着を起こしてシミの原因となるため、脱毛後のお肌のケアは十分に気を付ける必要があります。
敏感肌やアトピー肌でも照射出来ますか?
基本的には、敏感肌やアトピー肌でもレーザーの照射は出来ます。
医療脱毛のレーザーは、毛根や発毛組織に集中的にダメージを与えるため、肌に直接的なダメージや無理な刺激を与えることはありません。
ただ、お肌の状態によって、肌荒れがひどい場合や炎症が起きてる部位などには、症状が悪化する恐れがあるため、照射出来ない場合もあります。
医療脱毛は妊娠中でも受けられますか?
妊娠中は、ほとんどのクリニックで施術を行っていません。
妊娠中に医療脱毛を受けられないのには以下のような理由があります。
- ホルモンバランスの影響で体調を崩しやすい
- ホルモンバランスの変化により毛周期が乱れる
- 肌が敏感になりトラブルが起こりやすい
- 照射時の痛みに敏感になりやすい
- 施術時の体勢が体に負担をかける
上記のように、妊娠中は脱毛する事による体への負担やストレスが大きく、脱毛効果も得にくい上に、肌トラブルのリスクも高くなります。
医療脱毛のレーザーが子宮まで届くことはなく、直接お腹の赤ちゃんに影響を与えることはありませんが、上記のような理由から、医療脱毛に限らず、脱毛サロンなどでも施術は断られる場合がほとんどです。
医療メンズ脱毛について
医療メンズ脱毛について詳しくご説明しております。
カミソリ負けを繰り返している方や、背中や首、うなじ、お尻周りなど自己処理の難しい部位にお悩みの方に最適な施術です。