わきが(腋臭症・アポクリン臭汗症)・多汗症
記事監修
グランツクリニック院長
永嶋 啓一
経歴
2013年 | 埼玉医科大学 医学部 卒業 |
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2013年 | 埼玉医科大学総合医療センター 形成外科・皮膚科・麻酔科 |
2015年 | 品川美容外科 勤務 |
2016年 | 品川美容外科 品川本院 主任 / 新潟院 院長 |
2016年 | 東京中央美容外科 宇都宮院 院長 |
2018年 | 東京中央美容外科 新宿院 院長 |
2019年 | 銀座国際美容外科 勤務 |
2019年 | グランツクリニック 開院 |
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ワキガの原因・治療法・セルフチェック・対策・予防法をご紹介
ふとした瞬間に感じるワキのニオイ。
「もしかしてワキガかも?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ワキガのセルフチェック法やニオイの原因や治療法、対策から予防法まで一挙にご紹介します。
ワキガと併発することの多い多汗症についても解説しているので、是非、参考にしてください。
わきが(腋臭症・アポクリン臭汗症)・多汗症のメカニズム
私たち人間の体には「アポクリン汗腺」と「エクリン汗腺」という汗を分泌する組織が2種類存在します。
ワキガ臭の元となる汗はアポクリン汗腺から分泌され、多汗症による汗はエクリン汗腺から分泌されます。
まずは、アポクリン汗腺とエクリン汗腺の仕組みと、ワキガと多汗症の違いについて理解しましょう。
「アポクリン汗腺」とは
ワキガ臭の原因となる汗を分泌するアポクリン汗腺は、脇や陰部や乳首、耳などの毛包が存在する箇所に分布しています。
アポクリン汗腺の開口部は毛根にあり、出る汗は乳白色でベタベタしているのが特徴です。
その理由は、脂肪酸や脂質、タンパク質、糖質、アンモニア、鉄分、蛍光物質などニオイのもととなる成分が多く含まれているからです。
アポクリン汗腺は毛包に存在するため、脇毛の毛量が多い人の方が必然的にワキガを発症しやすくなります。
「エクリン汗腺」とは
全身に存在する汗腺で、主に体温調整のために汗を分泌します。
エクリン汗腺は全身の中でも特に手、足先や脇、額、胸などに多く分布しているため、多汗症の人はこれらの部位に汗をかきやすくなります。
エクリン汗腺は皮膚表面に開口し、分泌される汗は98%が水、残りはごくわずかな塩分です。
無色透明でサラサラしていて、ニオイもほとんどありません。
多汗症の方は、こまめに汗を拭き取るなどのケアを行なっていればニオイの発生は防ぐことができます。
ワキガと多汗症の違い
ワキガは脇から独特のニオイが発生する症状で、多汗症は大量の汗をかいてしまう症状を指します。
ワキガと多汗症は一緒と捉えられることが多いですが、全く別のもので多汗症による汗そのものには本来ニオイはありません。
しかし、多汗症の方でも、かいた汗を長時間放置すると雑菌が繁殖し、ニオイを発生させることがあります。
またワキガと併発している場合、ワキガのニオイが多汗症による汗で広がることもあります。
わきが(腋臭症・アポクリン臭汗症)とは
ワキガという名称は、アポクリン汗腺の多い「腋」の「下」からニオイが発生することから由来しています。
医学用語では「腋臭症(えきしゅうしょう)」や「アポクリン臭汗症」とも呼ばれます。
ワキガのニオイは、アポクリン汗腺から分泌された汗に含まれる脂肪酸が脇の常在菌に分解されることで発生します。
実際にニオイを発生させるのは、脂肪酸が常在菌によって分解されることによってできた「3メチル2へキセノイン酸」という物質です。
アポクリン汗腺は外耳道や陰部にも存在するため、ワキガの治療を受けても稀に脇以外の箇所からニオイが発生することがあります。
ワキガ自己診断セルフチェック
ワキガでない人でも、脇汗をかいて放置すると臭いは発生します。
臭いが発生すると「自分はワキガなのでは?」と勘違いされる方がいますが、ワキガとは臭いの種類が異なります。
ワキガのニオイか汗によるニオイなのか、自分でわからない方はチェックしてみましょう。
ワキガの臭いの種類
単なる脇汗の臭いの場合、生乾きの洗濯物の臭いやお酢のようなすっぱい臭いに例えられることが多いです。
ワキガである場合は独特の臭いがあり、汗に含まれる成分の個人差によって発生する臭いは異なります。
ワキガの臭いの中では、以下の3種類のような臭いに例えられる事が多いです。
- ①雑巾のような脂肪酸臭
- ②生臭い硫黄のような臭い
- ③スパイシーな臭い
これらに当てはまるニオイがある方は、ワキガ体質である可能性が高くなります。
ワキガ体質の特徴チェックリスト
さらにワキガ体質の方は、以下のような条件に当てはまることが多くなります。
前項でご紹介したニオイの種類が当てはまってる方は、チェックしてみましょう。
体質チェック
- 自分で脇のニオイが臭いと感じる
- 両親もしくはどちらかの親がワキガ体質
- ワキ毛が濃い
- 耳垢が茶色く湿っている
- 脇の下や脇毛に白い粉がつく
- 脇の下によく汗をかく
- 衣服の脇の下が黄ばむ
- 冬でも脇の下に汗をかく
生活習慣チェック
- 生活が不規則
- 乳製品や肉、揚げ物を食べる機会が多い
- ストレスが多い
- 運動する機会があまりない
- 飲酒、喫煙を日常的にする
- 過度なダイエットをしている
- ホルモンバランスが崩れやすい
医療現場でワキガと判断する際は、耳垢の状態と親にワキガ体質の人がいるかどうかを重要視しながら医師の嗅覚による診察を行います。
また、患者様がワキガ体質に悩んでいる場合、脇の一部を切開してアポクリン汗腺の数を確認することもあります。
多汗症とは
多汗症とは過剰な量の汗が出てしまう症状のことで、脇の多汗症を「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」といいます。
多汗症は、エクリン汗腺から分泌される汗によって引き起こされます。
通常であればエクリン汗腺から分泌される汗は無味無臭でニオイが発生することはありません。
しかし、汗をかいて長時間放置したり、常在菌に分解されるとニオイが発生することがあります。
多汗症の主な原因は、エクリン腺の過剰な発達や、精神の緊張状態です。
これらの条件が当てはまると、体温調整が必要ない状態でも大量の汗をかいてしまいます。
脇汗が多い基準とは?多汗症セルフチェック
夏場になると、多汗症でなくても汗を沢山かくことがあります。
では多汗症は、どの程度の汗が基準になるのでしょうか?
以下でチェックしてみましょう。
- 冬でも脇の汗ジミが目立つ
- 両脇に同じくらいの量の汗をかく
- 手のひら、脇、足の裏などが常に湿っている
- 汗がしたたり落ちる
- 汗で1日に何度も着替える
- 制汗剤が手放せない
- 原因不明の発汗が半年以上続いている
- 睡眠中はほとんど汗をかかない
- 緊張すると汗をいっぱいかく
- 家族で同じ症状の人がいる
- 25歳以前から汗を大量にかく
多汗症のレベルチェック
多汗症は、重症度によって症状が異なります。
セルフチェックで当てはまる項目が多い方は、以下のレベルチェックも受けてみましょう。
軽度
- 汗で皮膚が湿る
- 汗による水滴はないが常に汗ばんでいる
- 汗でテカる
軽度の多汗症の方は、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。
しかし、汗ばみやすいのが原因でメイク崩れや服装を選ばないといけないこともあります。
中度
- 汗がしたたり落ちる程ではないが皮膚が濡れている
- 汗が水滴になる
中度の多汗症の方は、軽度の方よりも汗が水滴となるのが特徴です。
サービス業の方など人と接する機会が多い方は、医療機関で治療を受けることをおすすめします。
重度
- 室温が低くても大量の汗をかく
- 汗が水滴となってしたたり落ちる
重度になると日常生活にも支障をきたすことが多く、人の目が気になる方も少なくありません。
快適な日常生活を送るためにも、早めに医療機関を受診しましょう。
わきが(腋臭症・アポクリン臭汗症)と多汗症の原因
ワキガや多汗症の要因は、汗腺の発達が大きく関係しています。
何故、汗腺の発達によってワキガや多汗症になる人とならない人が存在するのでしょうか?
以下で、その理由について詳しく解説します。
ワキガの臭いは優性遺伝によるもの
ワキガのほとんどは優性遺伝によるものです。
アポクリン汗腺の数は両親から遺伝するため、もともと数が決まっています。
アポクリン汗腺の数が多く、大きさが大きい程、ワキガ体質になりやすいといわれています。
両親ともにワキガ体質である場合は約80%、片親がワキガ体質である場合は約50%の確率でワキガが遺伝するといわれています。
この数字は多いように感じますが、欧米では約70〜100%の人がワキガ体質であるのに対し、日本人のワキガ体質の人の割合は約10%にすぎません。
汗腺の働きは思春期からホルモンの影響によってが活発になり、20代半ばでピークを迎えます。
ピークを過ぎても汗腺の大きさや数は変わらないので、汗によって発生するニオイが消えることはありません。
動物性脂肪が多い食生活
アポクリン汗腺の数は、もって生まれたものでいきなり変わることはありません。
成人してから急にニオイが気になり出した場合、生活習慣や食生活でもともと保有しているアポクリン汗腺が活発化した可能性が考えられます。
揚げ物や油の多い肉、バターやマーガリンなどの乳製品、ジャンクフードやスナック菓子はアポクリン汗腺の働きを活性化します。
また、これらの食べ物によって脂肪酸を多く含む汗をかくと、臭いも発生しやすくなります。
飲酒・喫煙
アルコールとタバコは、ワキガでなくても体臭を強くします。
体内で消化しきれなかったアルコールは汗として分泌されるため、必然的にニオイが発生します。
また、アルコールはアポクリン汗腺とエクリン汗腺を刺激する働きがあるため、ワキガ臭をさらに強めてしまう可能性が高くなります。
タバコも臭い成分が血液中に溶けて汗となって放出されるため、体臭となって臭いを発生させます。
さらに、タバコに含まれるニコチンも汗腺を刺激する働きがあるため、ワキガを悪化させる原因となります。
肥満
肥満の方は、厚い皮下脂肪が体温の放熱を遮るため汗をかきやすくなります。
見た目が太っていなくても、内臓脂肪が多ければ汗の量が増えるので同じです。
汗をたくさんかくと、雑菌が繁殖しやすい環境を作りニオイを広げる原因にもなります。
多汗症やワキガを防ぎたい方は見た目で判断せず、体脂肪率をしっかりとコントロールしましょう。
ストレスや疲労
ストレスや疲労、寝不足、運動不足などの生活習慣の乱れもワキガを悪化させる要因となります。
生活習慣の乱れが続くと代謝が低下し、体の老廃物や毒素を排出しにくくなります。
また心身ともに疲労がたまると、肝臓に負担がかかり体内のアンモニアを分解する力が低下します。
分解されなかったアンモニアは汗や皮脂に流出するため、体臭をきつくします。
適度な運動を心がけ、ストレスや疲労を溜め込まないように注意しましょう。
ホルモンバランスの影響
第二次性徴期といわれる小学校高学年〜高校生くらいの思春期に入ると、ホルモンバランスの変化によってアポクリン汗腺のサイズが大きくなり活発になります。
この変化によって、子供の時にはなかったワキガ臭が発生します。
女性の場合、初潮を迎える時期にワキガを発症するケースが多く、妊娠や出産、月経などでホルモンバランスが変化する時にニオイがきつくなる傾向にあります。
このようなホルモンバランスの影響による汗腺の活性化は、異性を惹きつけるフェロモンのような役割があると考えられています。
原因不明の脇汗の原因は「原発性多汗症」
多汗症は要因によって「続発性腋窩多汗症」と「原発性多汗症」の2種類に分かれます。
精神的なストレスやホルモンや神経の異常など、交感神経からの過剰な信号によって大量の汗をかく場合を「続発性腋窩多汗症」といいます。
特に原因がないのに大量の汗をかく場合は「原発性多汗症」であると考えられます。
原発性多汗症もワキガ同様、優性遺伝で思春期以降に発症することが多いです。
日本人での割合は少なく、約10%程度にしかすぎません。
ワキガ・多汗症の主な治療法
ワキガ・多汗症にはどのような治療法があるのでしょうか?
主な治療法を順番に見てみましょう。
ミラドライ(マイクロ波による治療)
脇の下にマイクロ波を広範囲に照射して、汗腺を熱破壊することで、臭いと発汗の両方を抑制できます。
ミラドライは厚生労働省や米国FDAから認可されている医療機器で、安全性が高い治療法です。
メスを使わないので、切開手術と比べるとダメージが少なく傷跡が残ることもありません。
中学生からワキガ治療が可能で、効果は半永久的に続きます。
より高い効果でダウンタイムを極力少なくしたい方に、ミラドライはおすすめの治療法です。
当院のミラドライは日本に数台しかない出力レベル8のミラドライを導入しております。
これまでのミラドライで治療を受けて満足のいく効果が得られなかった方にもおすすめです。
外用薬
肌表面の菌を除去することで、ニオイの発生を防ぐものと、発汗そのものを少なくするタイプがあります。
汗腺に栓をする働きがある塩化アルミニウムや、エタノール、乳酸などを含んだ外用薬があり、症状によって使用する種類は異なります。
ボトックス注射
脇にボトックス注射を打ち、エクリン汗腺の働きを麻痺させる治療法です。
持続期間は個人差がありますが、平均3〜4ヶ月程度です。
ボトックスとは「ボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素)」のことで、タンパク質から生成されています。
ボトックスには、「アセチルコリン」という神経伝達物質を抑制する作用があります。
この作用により、交感神経からエクリン汗腺への情報伝達を遮断させることができます。
ただし、ボトックス注射はワキガの原因となるアポクリン汗腺の働きを抑制することはできません。
エクリン汗腺の働きが抑制されることで汗の分泌量が減り、間接的にワキガのニオイが拡散されるのを予防できます。
多汗症には高い効果が期待できますが、ワキガを根本的に治したい場合、アポクリン汗腺をしっかりと取り除くミラドライや剪除法がおすすめです。
ビューホット(高周波エネルギーによる治療)
脇の下に無数の細い針を刺し、そこからRF(高周波エネルギー)を流し、汗腺を熱破壊する治療法です。
細かい部位にも対応できるため、ワキガだけでなくチチガ(乳輪の臭い)やスソワキガ(外陰部の臭い)にも効果が期待できるといわれています。
ビューホットは韓国で開発された医療機器で、ある研究ではワキガの女性約70%、男性約40%に改善が見られたと報告があります。
しかし約3%は再発例があり、多汗症による記載はないようです。
当院では、ビューホットの針による感染リスクや傷跡が残る可能性があるため取り扱っていません。
吸引シェービング法
脇の下を5㎜〜2㎝程切開し、先端が丸みを帯びた「カニューレ」という器具を挿入してアポクリン汗腺を吸引します。
器具の先で汗腺を吸引しますが、神経や血管、周辺組織にはダメージを与えません。
浅層の脂肪吸引のようなイメージを描いていただくとわかりやすいでしょう。
傷跡を最小限の範囲で抑えたい方におすすめの治療法です。
剪除法(手術による治療)
脇の下のワキ毛が生えている部分を約2〜5㎝メスで切開し、アポクリン汗腺を切除する方法です。
ワキガの要因となるアポクリン汗腺そのものを除去する剪除法(せんじょほう)は、数あるワキガ治療法の中で最も効果が高い方法です。
傷跡が落ち着くまで、半年から1年かかりますが、脇の皺に沿って切開しているため傷跡はほとんど目立ちません。
レベル診断によるおすすめのワキガ・多汗症治療
当院でおすすめのワキガ・多汗症治療をレベル別にご紹介します。
治療を検討中の方は、是非参考にしてください。
軽度のワキガ・多汗症(ボトックス注射)
脇ボトックス
軽度のワキガで手術やダウンタイムの発生を避けたいなら、気軽に行えるボトックス注射がおすすめです。
ボトックス注射による治療は、メスを使わないため傷跡が残らずダウンタイムも発生しません。
ボトックス注射によって、エクリン汗腺の働きが麻痺すると汗の分泌量が減ります。
汗の分泌量が減る事で、脇の下の細菌が繁殖しにくくなり、ニオイの広がりも抑えることができます。
中度~重度のワキガ・多汗症(ミラドライ・剪除法)
ミラドライ
中度〜重度のワキガの方で手術を避けたい方は、ミラドライによる治療がおすすめです。
ミラドライは1度の施術で約70〜80%の汗腺が破壊され、臭いや汗の量が約20〜30%まで減少します。
一度消滅した汗腺は、再生することはありません。
毛根も同時に破壊されるため、ワキガ・多汗症への効果と同時に脱毛効果も半永久的に実感できます。
また、ミラドライは症例研究や研究実績が多く、ワキガと多汗症の両方への効果が立証されています。
当院では、汗腺の分布が多い脇の中心部をダブルで照射するプランを設けています。
脇の中心部を密に照射することで、ワキガや多汗症により高い効果が期待できます。
剪除法
剪除法は一度の施術で、アポクリン汗腺は約80〜90%、エクリン汗腺は約50〜60%取り除くことができます。
(エクリン汗腺は、皮膚の構造状全てを取り除くことはできません。)
皮弁状に皮膚を反転させ、目視で確認しながら汗腺をハサミで切除します。
ダウンタイムは10日〜2週間程度発生しますが、重度のワキガの方や多汗症の方にも高い効果が期待できます。
ワキガ・多汗症治療後の傷跡やダウンタイムについて
ワキガ・多汗症の治療を行う際に、まず気になるのがダウンタイムではないでしょうか。
学校や仕事をどのくらい休めばいいのか、痛みはどれくらいあるのかなど施術後のケアについて治療法別にご紹介します。
ミラドライ
ミラドライのダウンタイムは個人差がありますが、痛みや腫れ、赤み、内出血が2〜3日続くことがあります。
施術後1週間程度でこれらの症状は治り、脇の下の皮膚が固くなったように感じます。
人によっては1ヶ月以上経っても、しびれやしこり、むくみなどの軽い症状を生じることがありますが、これらの症状も時間とともに消失します。
ボトックス注射
ボトックス注射による治療後のダウンタイムは、ほとんど発生しません。
施術後は、注射した箇所が5mm程度に膨らみ、凹凸状になります。
しかし、これらは一時的なもので当日中には治ります。
吸引シェービング法
吸引シェービング法のダウンタイムは数日~1週間程度です。
手術後は両脇の下をガーゼで圧迫し、固定する必要がありますが、翌日から通常通りの生活が可能です。
5㎜〜2㎝程度しか切開しないので、術後の見た目も綺麗で傷跡はほとんどわかりません。
剪除法による手術
剪除法による手術後のダウンタイムは約10日〜2週間程度で、腫れや痛み、内出血を生じます。
手術後はご帰宅いただけますが、血腫予防と皮膚をしっかり定着させるために7日間〜10日間、脇の下を圧迫固定します。
この期間は安静にしていただき、脇を挙げる動作は避けてください。
湯船での入浴は、抜糸後の術後7日〜10日間から可能です。
副作用で稀に熱感やだるさ、痒み、ひきつれ、色素沈着なども起こすこともあります。
両脇の下を3〜4cm切開しますが、脇のシワに沿って切開するため傷跡はほとんど目立ちません。
ただし、傷跡が目立たなくなるまでは数ヶ月〜1年程、期間を要します。
ワキガ治療後再発の可能性
ミラドライや剪除法などの半永久的に効果が続く治療法でも成長期の間に治療を受けると成人してから再発する可能性があります。
成長によって、ホルモンが変化し汗腺もまた増えるからです。
また脇以外の乳輪などに分布するアポクリン汗腺のニオイを感じることで、ワキガが再発したように感じることがあります。
自分でできるワキガ・多汗症の予防と対策
ワキガ体質であれば臭いは発生してしまうものと思われがちですが、本来ワキガ体質であってもそうでなくても汗そのものは無臭です。
多くの場合、皮膚に存在する常在菌によって分解され、さらに皮脂と混じり合うことで臭いが発生します。
体質や遺伝要因を変えることはできませんが、生活習慣やセルフケアの方法を変えるだけでニオイの発生は抑えることができます。
以下のように生活習慣やセルフケアの方法を見直してみましょう。
1.汗を長時間放置しない
汗で脇に密着した衣服が、そのまま乾くとニオイを発する原因となります。
汗をかいたらこまめに汗を拭き取り、清潔な状態を保つことが大切です。
ニオイの元となる皮脂や細菌を綺麗に拭き取るには、濡れタオルがおすすめです。
しかし、使い古しのタオルで何回もふくと清潔な状態にはなりません。
タオルは使う度に洗うか、使い捨ての汗拭きシートを活用すると良いでしょう。
2.正しい洗い方でワキガのニオイを防ぐ
ワキガの臭いはアポクリン腺から分泌される汗を常在菌が分解することによって発生します。
常在菌である「黄色ブドウ菌」と「真菌」を、正しい洗い方でこまめに除去すると臭いの発生を防ぐことができます。
3.脇毛を永久脱毛するとワキガ臭が軽減
脇毛があると、脇の下が蒸れやすく菌が繁殖しやすくなります。
臭いを予防するためにも、普段からワキ毛の処理は行った方が良いでしょう。
脱毛でワキガが改善するわけではありませんが、ワキ毛がなくなることで臭いの軽減につながります。
ただし、カミソリで剃ると、肌に負担がかかり、さらにワキガを悪化させる恐れもあります。
レーザー脱毛であれば肌に負担が少なく永久的に毛がなくなるのでワキガ体質の人にはおすすめです。
4.制汗剤やアルコール綿でケアする
制汗剤は殺菌作用があり、脇の常在菌の繁殖を防いでくれます。
最近ではスプレータイプのほかにスティックタイプやシートタイプ、クリームタイプなどさまざまな形状のものがあります。
日中シャワーを浴びたり着替える機会がない方は、自分に合った形の制汗剤をこまめに使用することで脇の臭いを抑えることができます。
5.ナイロン・ポリエステルは着ない
「ナイロン」「ポリエステル」などの化学繊維はシワになりにくく便利ですが、吸水性が悪いためワキガの方には向いていません。
また、化学繊維の服は臭いや黄ばみが染み付きやすく洗濯しても取れにくいといったデメリットがあります。
ワキガ体質の人は、吸収性が良く通気性のある綿や麻などの自然素材がおすすめです。
特にインナーなどを自然素材にすると、他の服に臭い移りも防ぐことができます。
ニオイや汗染みが気になる方は、抗菌防臭機能や脇汗パッドが備わったインナーを使ってみるのもいいでしょう。
6.適度に運動する
適度な運動で汗をかくと、老廃物が排出されるためニオイや細菌の繁殖を減らしてくれます。
体内に老廃物が溜まっている人の方が、ワキガのニオイは悪化しやすくなります。
人間は排泄や髪の毛、爪などで老廃物を排出しますが、その中でも汗をかくことは効率よく老廃物を排出できます。
汗をかいた後のケアは必要になりますが、定期的に運動を取り入れて汗をかく習慣を身につけましょう。
7.ストレスを溜めない
ストレスを感じると、自律神経の乱れによってアポクリン汗腺が刺激され汗の量は増えます。
アポクリン汗腺から分泌される汗は、通常よりも皮脂や不純物を含んでいるため常在菌のエサとなり、ニオイが悪化しやすくなります。
ワキガでない人も、ストレスが溜まると体臭がきつくなる傾向にあるのはこのためです。
日常的に趣味やリフレッシュを取り入れ、ストレスを溜め込まないよう工夫しましょう。
8.脂質の多いものばかり食べない
本来、日本人は和食を中心とした食生活だったため、ワキガの人口も少ない傾向にありました。
しかし、近年の欧米化に伴い、食生活も変化したためワキガを発症する人が増加しています。
ワキガ臭を抑えたいなら、魚や野菜が中心の低カロリー、低脂肪の食事を心がけましょう。
また、野菜や果実にプラスして大豆製品や海藻などのアルカリ性食材も常在菌の増殖を防いでくれます。
9.喫煙や飲酒を控える
アルコールやニコチンは、アポクリン汗腺を刺激します。
もともとアルコールやニコチンそのものがニオイの強い成分であるため、飲酒・喫煙される方は体臭がさらにきつくなる傾向にあります。
ワキガ臭を極力抑えたい方は、飲酒・喫煙をなるべく控えた方が良いでしょう。
よくある質問
- 治療後どれくらいで効果を実感できますか?
- ほとんどの方は、ミラドライ治療後すぐにワキ汗が出なくなるなど効果を実感できるようになります。
- 治療中・治療後の痛みはありますか?
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治療中は、治療部位に局所麻酔をしますので、ほとんどの患者様は痛みを感じません。
もし治療中に痛みを感じるようであれば麻酔を追加いたしますので、遠慮なくおっしゃってください。
治療後は、腫れなど緩和するために冷却パックでワキの下を冷やします。
痛みが出る場合もありますので、痛み止めの内服薬を 処方しています。
数日間はワキの下がヒリヒリしたり違和感がありますが、通常3週間程度で治まります。 - 仕事や日常生活に戻るまではどれくらいですか?
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ミラドライ治療後すぐに日常生活に戻ることができます。
ただし、1〜2週間は激しい運動、重たい荷物を持つ行為をは控えてください。
お仕事など心配な方は、治療翌日にお休みを取られることをおすすめします。
入浴は翌日からシャワーは当日から可能ですが、治療部位を強く擦らないよう気を付けてください。
また痛みや腫れを緩和するため、数日は冷却パックでワキを冷やすようにしてください。 - 術後に通院の必要はありますか?
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基本的に通院は必要ありません。
施術後、気になることや不安に感じることがございましたら、いつでもご相談ください。 - 以前にワキガの治療を行なっていても、治療は可能ですか?
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ミラドライの治療は可能です。
ただし、治療後の状態によっては治療が行えない場合がありますので、まずはご相談ください。 - 治療を受けれないケースはありますか?
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以下のような方はミラドライによるわきが治療は控えていただいております。
・妊婦中や授乳中の方
・ペースメーカーなど電子機器を埋め込んでいる方
・麻酔アレルギーがある方そのほか重篤な病気をお持ちの方などは治療をお受けいただけない場合がありますので、まずはご相談ください。
- ダブル照射と通常照射のプランの違いを教えてください。
-
通常照射に比べて、ダブル照射では、脇の中心部(汗腺の分布が多いエリア)の照射をより密に行うことで、効果を高めています。
※下記の画像を参照